流れる雲を見送って

写真 (6)

昼休み、ランチの誘いを断って、ひとり鴨川の木陰で考えごと。

お疲れ気味の頭のなかをいろんなことが浮んでは消える。

あれあれ、考えなんてまとまらない。

まるで今日の空のよう。青い空にフワリフワリ。ただただただようフワリフワリと。

そこには何も残らない。私の頭のなかみがあるだけ。

悩みも幸せも頭のなかで作られるんだって。法王さまが言っていた。

何も足さない、何も引かない。頭のなかをいじらない。

オフィスに戻ったら、とみーちゃんがフルーツの入ったバウムクーヘンを切ってくれた。ふんわり優しい味だった。

「スイーツ男子の父からのさしいれなんです」。いいね、そんなお父さん、いいね。

バウムクーヘンが美味しかったので、元気になって、記事をかく。あら、けっこう仕事が進んだ。みっつも書けた。

夕方、となりの部屋からワカコさまがお菓子の箱をたずさえてしずしずと入ってきた。ワカコさまもあいかわらずお疲れ気味。

Y先生が部屋から出てきて、一緒にお菓子をつまむ。Y先生はメレンゲのお菓子、私はうなぎパイ。

「○○先生のお土産のチョコ、カカオ100%で食べにくいんですよねー」

「先生、ヨーロッパのチョコってみんなこうなんですか」

「そればっかりじゃないでしょ。ベルギーチョコとか美味しいでしょ」

「そういやそうですねー」

とりとめのない話をたくさんしたら、部屋の空気がどんどんフンワリして、ワカコさまの表情がやわらいできた。

「よーし元気でてきた。がんばろー」。机をドン、とわかこさま。

「いやいや、そこでがんばらずに。平常心で」

「あ、そうか」

「ではまた明日ね」

「うん、明日」

ゆるゆると笑いあって、ワカコさまはまたお菓子の箱を両手にたずさえ、しずしずと去っていった。

何も足さない、何も引かない今日の日でいいじゃない。

そんな日もあるよねー。そうそうあるよねー。

そしてとみーちゃんはカバンを持って、一乗寺方面へと去っていった。いいな、私もK文社のひとになってみたいな。

うなぎパイは、お迎えのときに息子にあげよう。今日もきっと「ねえ、いいものある?」って聞いてくるから。

いいものあるよ。うなぎパイだよ。

うなぎってなに?お魚の仲間だよ。

なんでパイなの?パイはおやつの名前だよ。

なんでうなぎパイなの?うなぎみたいな形のパイだからじゃない?

おいしいね、いいものって、いいね。

きっとそんな会話になるんだろう。

今日はゆっくりとお風呂に入って、ゆっくりと眠ろう。

流れる雲はそのまま見送って、頭のなかの青空はそのままで。

ゆっくりと眠ろう。

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